「親が丸付けするのはおかしいですよね?」
とご意見をいただくことがあります。
この「宿題の答え合わせは誰がするべきか」というテーマにはいろいろな意見があり
と様々です。
また、小学校低学年・高学年・中学生と、学年によっても意見は変わります。
しかし、実は、理想となる結論は一つです。
その結論とは、
- 問題を解いた本人が答え合わせをするのが大切
- うまく丸付けができるようになるまでは、親も先生も手伝う
というものです。
長年子どもたちに勉強を教えている経験から、これが理想的な答え合わせのスタイルだと思っています。
理由を簡単に言うと、「自分1人で効果的な勉強を進められるようになること」が、学力を伸ばし、成績を上げ、受験を乗り越えるための大事なポイントだからです。
ということで今回は
という3点について、詳しく解説します。
誰が丸つけすべきかという悩みを少しでも解消し、有意義な勉強習慣のきっかけとなったら嬉しいです。
本人が丸つけするのが大切!その理由は?
「問題を解いた本人が答え合わせをするのが大切」
と、最初に結論として書きました。
その理由として
と説明しましたが、これをもう少し掘り下げます。
逆の視点で、「自分1人で丸つけできないとどうなるか」という点を考えてみましょう。
自分1人で丸つけできないということは、当然ですが、
誰かが丸つけしてくれるまで、問題を解きっぱなしになる
ということです。
問題を解きっぱなしになるということは
- 正解か不正解か
- 理解しているのかしていないのか
- 間違って覚えている知識がないか
といったことが、全くわからないということです。
このように問題を解きっぱなしにしてしまうと、学力が伸びたり、成績が上がったりすることはほとんどありません。
なぜかというと、学力が伸びる要素がほとんどないからです。
学力が伸びるには
が必要です。
そして、そのどちらもが、答え合わせをすることから始まるのです。
それゆえ、問題を解きっぱなしにしてしまうと、勉強した効果がほとんどなくなってしまうのですね。
もしもそのまま誰も丸つけしてくれなかったら、勉強に使った時間と体力がほとんど無駄になってしまうと言っても過言ではありません。
また、誰かが丸つけをしてくれたとしても、時間が空いてしまったり、自分の考えを忘れてしまったりすると、学習効果が減ってしまいます。
こういった理由から、自分1人で丸つけができるようになるのが最も大切だと言えるのです。
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親はいつまで丸つけするべき?
自分1人で丸つけができるようになるのが最も大切とはいえ、特に小学校低学年のうちは、本人が正確な丸つけをするのは難しいものです。
それゆえ、
うまく丸つけができるようになるまでは、親も手伝った方が良い
といえます。
では、親はいつまで丸つけを手伝うのがよいかというと、4・5年生が目安だと思います。
中学生になると思春期もあり、また学習内容も高度になるため、保護者が関わるのは難しくなります。
それゆえ、6年生までにはしっかり1人で丸つけできるようにしたいものです。
6年生までに1人で丸つけできるようになるためのステップ
6年生までに丸つけできるようになるためには、以下のようなステップで丸つけに関わると良いでしょう。
- 答えは親が預かり、親を中心に一緒に丸つけ(1~3年)
- 答えは親が預かり、子どもを中心に一緒に丸つけ(4・5年)
- 答えを子どもに預け、丸つけも子どもにさせる(6年)
( )内の学年はあくまで参考です。
子どもが丸つけする気になっているなら、低学年のうちからどんどんやらせましょう。
それぞれポイントをまとめておきます。
答えは親が預かり、親を中心に一緒に丸つけ(1~3年)
小学校低学年のうちは、答えは親が預かり、親を中心に一緒に丸つけするのがおすすめです。
物事は最初が肝心。
小学校1年生から、「丸つけと直しまでが勉強」だと意識できるような、それが習慣になるようなスタイルにしておきましょう。
宿題に取り組んだことを大いに褒め、間違いがあったら一緒に考え、解説や教科書を読み、優しく導きます。
- 努力することが大事であること
- 間違いは修正すればいいということ
- 解説や教科書で調べるのが大事であること
この3つが感覚として身につくようにできると、その後の学習はとてもスムーズになります。
ちなみに、間違いを怒ったり、正解か不正解かという結果だけが大事だと思わせたりしないように気をつけましょう。
そのようにしてしまうと、勉強が嫌いになったり、間違いを恐れて正常な判断ができなくなったりする恐れがあります。
答えは親が預かり、子どもを中心に一緒に丸つけ(4・5年)
小学4年生・5年生になったら、答えは親が預かるものの、子どもを中心に一緒に丸つけするとよいでしょう。
実は、「自分の書いた答えと解答を見比べて、正確に丸つけする」というのは、小学生にとっては難しい作業です。
作業自体の難しさがある上に
- 早く終わらせたい
- 丸にしてしまいたい
という気持ちもあります。
結果、子どもだけに丸つけを任せると、間違っていても丸にしてしまうのです。
これは、とっっっっっっても多いです。
だから、一緒にいてあげて、正確に丸つけができているかどうか、見てあげましょう。
子どもが間違いをチェックできたら褒めるくらいでちょうど良いと思います。
その上で、
- 正確に直すこと
- 解説や教科書を読んでみること
- 解説でわからなければ、人に聞いていいこと
が大切であると伝えると効果的です。
答えを子どもに預け、丸つけも子どもにさせる(6年)
ついに小学6年生です。
中学生まで後1年。
このタイミングで、答えを子どもに預け、丸つけも子ども自身にさせてみましょう。
大事なのは
- 自分で丸つけしたことを褒める
- 丸つけの後はチェックする
- 丸つけミスがあったら穏やかに修正する
- 1人だとまだ難しい場合は、一緒に丸つけする
ことです。
6年生のうちに1人で丸つけ&直しができるようになったら、中学生になってからの学習はかなりスムーズに進められます。
とはいえ、子どもにはそれぞれタイミングがあります。
うまく丸つけできなくとも、責めることなく、長い目で見守っていただけたらと思います。
親が丸つけに関わるメリット
このように親が丸つけに関わることには、メリットもあります。
そのメリットとは
- 一緒に丸つけすることで、子どもの理解度を知ることができる
- 一緒に丸つけする時間があることで、学習習慣が身につく
というものです。
丸つけを一緒にすれば、お子さんがどこまで理解していて、どこから理解できていないかを知ることができます。
つまり、これから何をどう勉強していくかということについて、一緒に考えるきっかけにもなるのです。
また、一緒に丸つけすることが決まっているということは、その前に必ず問題を解くことになり、勉強習慣を身につける助けにもなります。
時間がない中で丸つけを一緒にするのは大変ですが、メリットは確かにあると言えます。
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先生が丸つけしたほうがいいのでは?
宿題について、先生が丸つけした方が良いのでは?という意見もあります。
これについては、「本人が1人で丸つけできるようにする」という理想に照らすと、あまりメリットはありません。
どちらかといえば、先生方には
- 正確に丸つけすること
- 直し(正しい答えを書き、解説や教科書などで理解し直す)をすること
- もう一度解いてみること
が大切であるということを、手本を示しつつ、小学生のうちから子どもたちにもっともっと伝えてほしいなと思います。
また、保護者に丸つけを任せる場合は、必ず解答・解説を持たせることもお願いしたいところです。
先生が丸つけするデメリット
学校の先生が宿題の丸つけをすることにはデメリットがあることもあります。
そのデメリットとは、子どもたちが
「勉強=とりあえずノートをうめること」だと思ってしまう
可能性があるということです。
これは特に小学校で多いのですが、時々、生徒にノートを見せてもらうと、漢字などを間違ったまま練習して、先生から花丸をもらっていることがあります。
(※たくさん赤入れをしてくれる先生もいらっしゃいます)
おそらく、「作業をがんばったことへの花丸」だと思うのですが、これは子どものためになりません。
なぜなら、「とりあえず、ノートを埋めれば勉強したことになる」という、誤ったメッセージを子どもたちに送ってしまうことになるからです。
実は、この感覚のまま中学校に上がり、有意義な家庭学習ができずに成績を下げてしまう生徒がとても多いのです。
間違った漢字や英単語をノートいっぱいに練習することで、学力が上がることはまずありません。
このやり方は、子どもたちの時間と体力だけでなく、未来までもを奪ってしまう可能性があります。
先生が丸つけするなら、それこそ正確にして、直しをさせ、その後の学びにつなげる大切さを伝えてほしいなと思います。
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丸つけは誰がすべきかについてのまとめ
ここまで丸つけは誰がすべきかということについて解説してきました(長くなってしまいましたね)。
大事な部分をおさらいしておきます。
▼ 本人が丸つけするのが大切な理由 ▼
学力が伸びるには
が必要で、そのどちらもが、答え合わせをすることから始まります。
そのため「自分1人で効果的な勉強を進められるようになること」が、学力を伸ばし、成績を上げ、受験を乗り越えるための大事なポイントです。
▼ 親はいつまで丸つけするべき? ▼
「6年生までにはしっかり1人で丸つけできるようにする」ということを目安に、以下のように段階的に関わっていくとよいでしょう。
- 答えは親が預かり、親を中心に一緒に丸つけ(1~3年)
- 答えは親が預かり、子どもを中心に一緒に丸つけ(4・5年)
- 答えを子どもに預け、丸つけも子どもにさせる(6年)
また、親が丸つけに関わることには、以下のようなメリットもあります。
時間がない中で丸つけを一緒にするのは大変ですが、メリットは確かにあると言えます。
▼ 先生が丸つけしたほうがいい? ▼
先生の宿題のチェックの仕方(作業重視のやり方)によっては、「とりあえず、ノートを埋めれば勉強したことになる」という、誤ったメッセージを子どもたちに送ってしまう可能性があります。
先生方には
- 正確に丸つけすること
- 直し(正しい答えを書き、解説や教科書などで理解し直す)をすること
- もう一度解いてみること
が大切であるということを、手本を示しつつ、小学生のうちから子どもたちにもっともっと伝えてほしいなと思います。
いかがでしたでしょうか。
丸つけは誰がすべきかという疑問が、少しでも解消されたら嬉しいです。
特に、保護者にとっては、宿題の丸つけを手伝うのはかなりハードな作業です。
この文章が、「親の丸つけのメリット」を感じられたり、どう本人に任せていくかの参考になったりしたなら幸いです。